1.塩化ビニールの環境リスク
モノマー製造、製品、廃棄、焼却、各段階で
ダイオキシン、外因性内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の発生源となる。
2.塩化ビニールから溶出する環境ホルモン
軟質塩ビ製品・・・25〜50%
硬質塩ビ製品・・・10%
有機リン系、フタル酸エステル系の可塑剤が要因
フタル酸エステル系 8種類が「環境ホルモン」にリストアップされている。
◎フタル酸ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)
フタル酸ジヘキシルフタレート
フタル酸ジエチル フタレート(DEP)
フタル酸ジペンチルフタレート
フタル酸ジブチル フタレート(DBP)
フタル酸ジシクロヘキシルフタレート
フタル酸ジプロピルフタレート
フタル酸ジチルベンジフタレート
◎フタル酸エステル系 生産量
482,111トン/年
このうちDEHPは313,344トン(65%にあたる)
3.フタル酸ジエチルヘキシルフタレートの毒性
◎エストロジェン・・・女性ホルモン作用を示す内分泌かく乱物質
オスラット→精細管萎縮・前立腺重量減少
メスラット→性周期の延長・排卵障害
マウス・ラットの
妊娠期間中の暴露実験→生存胎仔数の減少・奇形発生率の増加
◎発ガン性可能性2Bクラス
ラット・マウスの慢性毒性・発ガン性試験で肝細胞腫瘍が認められた。
―――1996年「一般環境汚染調査結果」(環境庁)によれば―――
◎DEHPについて
「水質、底質及び魚類のいずれからも検出され、検出頻度はやや高く、
検出濃度レベルも必ずしも低いとは言えない。
内分泌かく乱物質の疑いがあることなどから、関連情報の収集が必要である。
また、水質、底質及び魚類のいずれからも検出されることから、今後も環境調査を行い、
その推移を監視することが必要とされている」
◎DBP、DEHP共に水質要監視項目に指定されている。
4.フタル酸エステルの食品汚染
食品包装用の塩ビ製品が原因と考えられている
カナダ ・・・DEHPは飲料で平均0.065ppm・食品で平均0.29ppm
DBP・BBPはバター、マーガリンを汚染
イギリス・・・乳児粉ミルクで汚染が見つかり1日の摂取許容量は0.13mg/体重kg
日本 ・・・DEHP・DBPが肉類、玄米からも検出されている。
5.塩ビ製品の規制の流れ
オーストリア・・・1998年より三歳以下の子供のおもちゃにフタル酸可塑剤の使用禁止
デンマーク ・・・1998年11月より同様の措置
(イギリス・イタリア・スペイン・スェーデンにも同様の動きがある)
チェコ ・・・2001年以降塩ビ包装を停止
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