本間裕子さんからのメッセージ

支援活動・協働企画 - 砂漠の緑化
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 1999年8月31日

種集めの輪

 

  この度はご支援ご協力のお便りうれしく拝読いたしました。

 福岡さんが初めて海外に招かれたのは今からちょうど20年前の1979年、アメリカです。
その頃すでに英訳されていた「自然農法・わら1本の革命」が国連の砂漠対策局長の目に留まり「ミスターフクオカの本には、ハゲ山だった所(現在の自然農園)が緑になった話が書いてある。
あなたのやってきた自然農法はまさに自然復活の方法だ。
イラン・イラクの砂漠をどうしたらよいかを考えて欲しい」と相談を持ち込まれたのをきっかけに、それ以降砂漠緑化に取り組んでまいりました。

 主に1985年にはソマリア・ケニア・エチオピア
1991年にタイ
1996年にタンザニア・ベトナム・・・
近年においてはギリシャ・イタリア・スペインで毎年3月と9月に
自然復活のための粘土団子蒔きが行われています。

 今回中国での緑化を中国政府から要請された経由についてお話します。
1998年10月、その年の3月に行われた粘土団子蒔きに引き続き、 2回目の種蒔きのためギリシャへ趣いた時に見かけた1本の木からその話は始まります。

 岩山の合間にポツリポツリと生えていたかと思えば、街中でも見事に育ちたくさんの種子をつけるその木・・・。
ギリシャ人の話によれば、1800年代後半にドイツの皇帝から贈られた俗称「中国の木」(日本名香椿)。
岩の上にも生え、水辺でも育つ。
竹のように根から次々と繁殖し、一枝にたくさんの種子をつけ、風に飛ばされ、水に運ばれ、行き着いた所で根を下ろす。

 「こんな樹木だったら、きっと広大な中国の緑化にも大いに貢献するはず。
日本へ帰ったら、中国大使館へ行って、このことを伝えよう」帰国後、早速中国大使館に向かいました。
農林水産担当のスウ国輝2等書記官は、快く私たちがギリシャで見た木の話も聞いて下さり、さらに粘土団子による砂漠緑化を中国政府に正式公文で推薦してくださいました。

 こうしたスウ書記官のご尽力により、6月私たちは中国政府の国家林業局を始めとする
関係者の方々と緑化にあたっての初めの1歩を歩みだす事ができました。
中国では日本大使館の北林1等書記官に大変お世話になりました。
今後、来年3月から粘土団子つくり、粘土団子蒔きについての、さらに具体的な話し合いが期待されます。

 福岡さんの構想では、我々が東から西へ、ギリシャでの自然復活に尽力しているパノスを中心とするヨーロッパのグループは西から東へシルクロードに種を蒔いて、豊かな『緑の道』をつなぐこと。
そうしてアフリカへもその『緑の道』をつなぎ、地球全体がパラダイスになって、歌って踊ってゆかいに暮らせる、かつての自然を復活させる・・・

 この度、皆様にご協力いただきたいのはまず「種集め」です。
スイカの種は、買うと一粒20円します。(1袋10粒入りで200円します)
大玉スイカ1つにはおよそ500粒の種が入っていますので、 1つのスイカに1万円分の種が入っている計算になります。
メロンやかぼちゃもそうです。
私たちが普段何気なく生ゴミとして捨ててしまっている種にこそ価値があるのです!!
自然を復活させる命(エネルギー)があるのです。

 普段食べている野菜だったら、カボチャ・ピーマン・トウガラシ・トウガンなど・・・
果物ならカンキツ類・スイカ・メロン・ブドウ・ナシ・カキ・リンゴ・サクランボ・モモ・ビワ・パパイヤ・・・・
その他、山の木・公園の木・庭の木・花・ハーブ・・・
できるだけたくさんの種類の種子が必要です。

 赤土のハゲ山だった福岡さんの自然農園も福岡さんが努力しているうちは蒔いた果樹の種もなかなか育ちませんでしたが手をかけるのを止め、自然に任せたとたんに、鳥たちが蒔いた、クス・センダン・アカシア・ハゼの木・ウルシ・タイワンカエデ・ヤマモモ・グミ・オチャ・シキミ・・・が自ずと増え、そのうちに果樹もぐんぐん育ってきました。
自然を復活させるきっかけをつくるために、私たちが鳥になって、たくさんのさまざまな種類の種を集めなければなりません。

 送り先については決まり次第お知らせいたしますので次の連絡がございますまで、各自冷暗所にて保存お願いいたします。
この種集めは今後ずっと続けていきます。
「種」を必要としている所はたくさんあります。
インド・ギリシャ・スペイン・イタリア・・・・ですから今回の種集めをきっかけに皆様にも是非続けていただいて、益々「種集めの輪」を広げて行きたいと思っております。

 普段の生活の中で集められる種以外・・・耐乾性、耐塩性、耐寒性に優れた植物の種の事等ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご助言いただきたいと思います。
また、集めた種を大量に保管する、輸送するにあたって、何か良いお考えがありましたら、お知恵をお貸しください。どうぞよろしくお願いいたします。
もちろん、農家の方、種苗店の方で、種のご協力をしていただけるのでしたら、喜んでお受けいたします。

 長いお返事になってしまいました。
お気づきの点、ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
(返信ご希望の方は恐れ入りますが往復はがき・80円切手をご同封ください)
最後になりましたが、お返事が遅くなりました事、お詫び申し上げます。

1999年8月
お問い合わせ先
〒134-0088 東京都江戸川区西葛西3-14-15-1408
FAX03-3869-7666 本間裕子