2007年6月1日 馬場利子
1947年におきた1つの事件(福岡事件)について、私たちは人と人の縁によって知り、無実を叫びながら死刑に処せられた西さんの無念の叫びと出来事が無縁の事ではなくなりました。
60年と言う長い歳月、未だに再審が認められない石井さんの願いを受け止めた私たちに何が出来るかと静かに見つめながらこの会を主催する事になった私たちは“伝える事と分かち合う事”を私たちの願いとして、当日を迎えました。 全国ツアー中の多忙な中、来て下さったピアニストのウォンさん。そしてウォンさんのパートナーの美枝子さんの笑顔を会場に迎えると、ハリストス正教会の小さな木のホールがとても喜んで私たちを包んでくれるのが感じられ、一気に来場者の数や経費などの雑事は一掃されてしまいました。
そして、“ウエルカム・ドリンクコーナー”ではプラムフィールドのスタッフの笑顔と愛を添えてチャリティーコーナーに・・。 ウォンさんのリハーサルも終わり、会場の準備も終えた頃、パラパラ降っていた雨も止み、・・「ねぇねぇ!来て!虹が出ているよ」の声にスタッフ全員外に出ると教会とホールの後ろに、森から街へ大きなくっきりとした虹が架かっていました。
虹が私たちを祝福して空に在る間、全員集合して記念写真を撮りました。 “今日、ここにこうして集まれて良かったねぇ・・”と無言の喜びの時を過ごした後、皆さんをお迎えできました。
シスターヘレンや福岡事件との出会いを交えてのお話はウォンさんの優しさや人柄がよく伝わって、嬉しくなりました。
参加者の中には、静岡市内の複数の教会のシスターたちが何人も来て下さっていましたが、全員で立ち上がって大地と私たちと天を繋ぐ祈りのパフォーマンスを行い、ホールを大地のエネルギーで満たし、シスターへレンのお話へとつなぎました。
お話の中でも特に心に残った事は、シスターが話し相手となっていた死刑囚によって、息子を殺された父親との出会いで、彼がシスターに「なぜ、もっと早く私の所に来てくださらなかったのか?私は死刑制度にずっと反対してきたけれど、被害者になった事で、犯人に死刑を求めるように圧力を掛けてくる人々がいる。私は自分の個人的な感情によって、人を恨んでその人の死を願うような人間にはなりたくない。どうか私がそのような力に耐えられるように私を支えて欲しい」 と語ったという事でした。
シスターへレンは最後に、「みなさん、どんな事でも良いから、貴方に出きることをして欲しい。署名でもいいし、人に伝える事でもなんでも良いですから、どうかできる事をしてこの活動を支えてください」と結びました。『どんな事でも良い、自分に出来ることを社会のために(未来のために)する・・』これは私たちプラムフィールドの合言葉と同じ・・・です。
会場を照らす月は後1日で満月の月。凛として美しく、どこまでも元気な2人のシスターの声を良く透してくれていました。 夕刻に空に描かれた虹と夜の月・・・
“架け橋は掛けられ、愛は満ちるのを待っている・・”そんな1日となりました。
西さんのご冥福と、石川さんの願いである再審を私たちも共に祈れた事を心から嬉しく思いました。
この1日を支えてくださった全ての方々に心から感謝をいたします。ありがとうございました。