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発達障害のリスク調査について~(その1)

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2008年12月23日

環境カウンセラー 馬場利子(静岡市在住)

化学物質の脳への影響

 近年、文部科学省は、学習困難な子どもたちの増加に対して、指導方法や学習支援制度を作り、発達障害や情緒障害の診断について、現場である小中学校へ様々な通達を出し、対応をしていますが、地域の中でも、『発達障害』という言葉を聞くことが多くなっているように思います。

少し前まで、授業中に勝手に席を立っていってしまう子や、友達と上手く会話が出来ない子、自分勝手な行動をする子は『親のしつけが悪い』と家庭教育の問題のように言われていましたが、現在では、そうした子どもの行動は『脳そのものの微細な障害による機能不全の現れ』である事が分かっています。

 

子供たちの脳に今、何が起こっているか?
1つのデータとして、2002年の文部科学省の調査では、東京都の就学全児童の6.7%(17人に1人)に軽度発達障害が認められると報告しています。

 発達障害は脳の機能が造られる胎児期に神経回路が正常に作られず、 特定の行動がうまくできなかったり、学習の能力にバラつきがでる状態なのですが、文部科学省は発達障害が子どもたちに多く起こる事態を重く捉えて、 2001年から2006年に『化学物質の脳への影響』 の研究を黒田洋一郎博士ら5大学の研究グループに依頼して報告をまとめています。

この研究は胎児期の脳の発達を阻害する物質の作用について知ろうとしたもので、研究の内容は、

①甲状腺ホルモンに似たPCBが知能低下、発達障害などを起こす物質であること。

②殺虫剤の成分であるピレスロイド(匂いのない防虫剤の成分)が、学習などのあらゆる後天的行動の獲得を阻害すること。

③農薬が脳の情報伝達をする神経シナプスの発達を阻害することなどが報告されています。

 

脳の発達と環境化学物質
人間の脳は数多くの生体化学物質の反応によって学習や運動、行動、感情のコントロールなどを可能にしていますが、体外から人工的な化学物質が入り込むと脳内の生理的な反応が撹乱されたり、脳の発生時期に神経を障害したりする事が明らかになりつつあります。
生理的な脳内物質と外因性生体攪乱化学物質の問題は、環境ホルモンの問題と全く同じ問題であるといえます

化学物質と生物の健康について、少し情報を整理する事によって、健やかな命を繋ぐ事ができる事を願って、詳しいお話は、次号でお伝えさせていただきます。

最終更新 2011年 8月 21日(日曜日) 07:59