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要望書提出

(1)子宮頸がんワクチンの公費助成について
慎重な調査と協議を求める要望書

 静岡市議会において、子宮頸がんワクチン接種の公費助成を求める提案が審議されているのに対し、2010年10月12日 慎重な審議を求める要望書を市長と市議会に提出しました。

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●『静岡市長・市議会議長宛 子宮頸がんワクチンの公費助成について慎重な調査と協議を求める要望書』


静岡市長 小島善吉殿
静岡市議会議長 安竹信男殿

子宮頸がんワクチンの公費助成について慎重な調査と協議を求める要望書

 私たちは日ごろより、子どもの健康と健やかな命を育む環境について関心を持ち、様々な暮らしの課題について自主講座等を介して学んでいる者たちです。
 現在、子宮頸がんワクチンの接種が、自治体の全額公費助成によって行われてい る事例や、マスコミなどによる報道に触れて、静岡市でも該当年齢の女子を持つ 父母の間で、大きな話題になっています。
私たちは暮らしに関する情報の発信や共有を行っているため、そうした人々から質問を受けることがありますが、その多くは、『子宮頸がんにならないためには、高くてもやった方が良いと思うけれど、 ワクチンは本当に安全なのでしょうか?』というものです。
市民の子宮頸がんワクチンに対する認識は、ワクチンを接種すれば癌にならないという誤ったものである事が分かります。
 市長におかれましては(市議会議員の皆さんは)、厚生労働省の審議会記録などからワクチンについて、正確な情報を入手されていると思いますので、改めて資料を提示する必要はないと思いますが、 市民が正確な情報を得る事なく、 このワクチン接種に対して市の費用補助を要望するような風潮を、私たちは憂慮 しています。

 子宮頸がんは、ヒトパピロマーウイルス(HPV:人乳頭腫ウイルス)の感染によって発症し、原因がほぼ特定されたとしてワクチンが開発されてきました。
 しかし、ヒトパピローマウイルスには100種類以上のタイプがあり、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる疾患は、尖圭コンジローマ、ボーエン様丘疹症、子宮頸がんなどがあります。 子宮頸がんはヒトパピローマウイルスのうち16,18,33,52,58型、などの中〜高リスク型によっておこりますが、日本で承認されているワクチンは、発がん性があるHPV15種類中、HPV16型、18型の2抗原にしか対応していません。
16型、18型のウイルスは欧米に比べて、日本人では保有者は少ないという報告もあります。

 WHOの推定では、子宮頚がんの発がん性HPV感染者3億人の内、がんになるのは感染者の0.15%だということです。 また、HPV感染後の進行についてもがん化することが必至のものではありません。 抗体ができる以前に、はがれて治癒することも多く、子宮頸がんウイルスに感染しても、発病しないで自然に治るケースが大半だといわれています。 抗体ができる前に治癒する病気に、ワクチンで抗体をつけて発病を防げるという証明は、まだなされていない現状です。 海外でも臨床経験が2006年から始まったばかりで、予防効果の実績評価が十分とは言えません。
 現在、承認されている英国のグラクソスミス・クライン社のワクチン「サーバリックス」が、子宮頸がん予防のために選択すべき対策であるかのように喧伝され、 感染前接種でなければ効果がないとして女子中学生への接種が勧められていますが、副作用や有効性についての検証はまだ十分されていません。

 厚生労働省の論点整理では、「HPVワクチンは定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものではなく、ワクチン接種に加え、 正しい子宮頸がんの知識を持ち、何よりも早期発見のためにがん検診を定期的に受診することが重要である。 欧米に比較して子宮頸がん検診の受診率は低い現状であるが、検診とHPVワクチン接種を関係づけ、より高い検診の受診率を目指し、効果的ながん対策の在り方を検討すべき。 子宮頸がんの発生は性交渉と関係しているため、対象者への性教育やその保護者への正しい理解の普及を重視すべきではないか。」とまとめられています。

 国のファクトシートによる情報提供においても「実際にHPVワクチン導入が全人口レベルで子宮頸がん患者・死亡の減少につながるかは、今後の長期にわたる調査研究が必要である」とされおり、 国の審議会においても有効性や副作用被害の在り方について疑問とする発言が出ています。
 ワクチンの値段は1回につき、15000円で、3回の接種が必要とされています。 その15000円のうち、ワクチン会社の原価が12000円であるという報告が国の感染症分科会で報告されていますが、この様な高額な原価の商品を薬価として認可する国の政策にも、市民感覚から大きく外れ、費用対効果としても疑問を持ちます。

 仮に静岡市がワクチン接種に公費助成をするとなれば、医療行為として十分な説明がなされた上で、選択には個人の自由な判断が最大限尊重されなければなりません。
学校現場では性教育すら適切に行われていない現状で、「性交経験者にはワクチンの予防効果はない」事や「ワクチンを接種しても子宮頸がんの検診は必要であること」などを適切に指導する責任も発生します。
 また、公費助成は、行政が接種を推進するという強力なメッセージとなり、学校現場では強制力を伴う接種推進につながる危険性もあります。 また、このワクチンはあくまでも任意接種である以上、万一、副作用による被害者が出た場合、予防接種法上の公的救済がなされないため、被害者救済は静岡市の責任で行われることになりますから、 副作用に対する市民への説明には充分な資料の提示が求められることになります。

   以上の点より、私たちは子宮頸がんワクチンの導入に対して、静岡市議会に慎重な審議、検討、判断を強く希望するものです。
 子宮頸がんワクチン接種の公費助成は、適確な判断をされ、無駄な公費を支出しないように要請いたします。
以上
2010年10月12日
「健やかな命のための生活講座」一同
学校給食探検隊 一同
代表 馬場利子
静岡市葵区安東1−2−3
プラムフィールド内



(2)子宮頸がんワクチンの公費助成導入よりも、
  子宮頸がんに対する政策は
  「検診の充実」を選択するよう求める要望書

 国が子宮頸がんワクチンなどの接種費用を予算化したため、12月14日(火)静岡市議会で予算要求をする審議が行われました。
これに対して、子宮頸がん対策には、ワクチン接種に公費助成は慎重に配慮を求める要望書を市長と市議会に提出しました。

プリントアウト用には下記をクリックしてご利用下さい
●『静岡市長宛 子宮頸がん対策についての要望書』
●『静岡市議会議長宛 子宮頸がん対策についての要望書』

静岡市長 小嶋善吉殿
静岡市議会議長 安竹信男殿

子宮頸がんワクチンの公費助成導入よりも、
子宮頸がんに対する政策は「検診の充実」を選択するよう求める要望書


 静岡市政に対し、市民の暮らしを守るために尽力くださりありがとうございます。
 私たちは国が子宮頸がんワクチン接種を進めようとしている事に不安を持ち、ワクチンの安全性や必要性について、専門家と共に学習を進め、多くの人に『子宮頸がんワクチン』について知ってもらおうと、 ブックレットを編集し11月15日に発行しました。

 その作業の間に、静岡市もワクチンの公費助成を検討していると知り、過日(10月12日)、子宮頸がんワクチンの導入に対して慎重な検討を要望し、その趣旨を提出させていただきました。 その際、担当課より『予防接種法によらない政策は性急に実施する考えはない』というお返事を頂き、安堵しましたが、 今回、国の経済対策として子宮頸がん等(インフルエンザ菌b型、細菌性小児肺炎球菌)ワクチンの実施予算が確保された事を受けて、静岡市議会においてワクチン接種事業の実施を検討されていると聞き、 医学的根拠のある政策の選択をお願いしたく、趣旨を申し上げます。

 前回の要望書にも書きましたが、市民の子宮頸がんワクチンに対する認識は、『ワクチンを接種すれば癌にならない』という短絡的な傾向は否定できませんし、 性感染症について学校や家庭で知識を共有する経験がないまま、予防効果が確定していないワクチンを接種するという性急な政策は、市民に混乱き、不安を煽る恐れがあります。

 子宮頸がんウイルスは弱毒性で、WHOの推定でも、子宮頚がんの発がん性HPV感染者3億人の内、がんになるのは感染者のわずか0.15%だという事実は一般に広報されていませんし、 仮にHPVに感染したとしても、がん化することは稀で、抗体ができる以前に、はがれて治癒することも多く、発病しないで自然に治るケースが大半だということも知られていません。 抗体ができる前に治癒する病気に、ワクチンで抗体をつけて発病を防げるという医学的な証明がなされていない現状において、たとえ、国が予算を取ったからといって、 子宮頸がんワクチンの接種を公的助成により実施するかどうかは、市独自の慎重な判断を期待するものです。

 子宮頸がんの原因となるウイルスが確定された事実は、単に医学的な検知であるにも拘らず、がん化する可能性の低い事実を伝えず、 いたずらに「癌化する可能性を誇張するようなワクチンの宣伝」に加担する国の政策にも大きな疑問を感じます。
 私たちの体は、免疫という機能を誰もが持っており、適切な休養と栄養をとる生活習慣を心がけることにより、病気を予防する力を持っている事実を共有する事によって、 安定した心と体を保つように促すべき健康福祉政策において、癌への不安を煽るようなワクチン企業の宣伝を鵜呑みにする政策は悲しむべき選択だと思います。

 今回、国は定期接種化の方向性をきちんと明示しないままで、自治体の自主的事業に補助する形で予算化されています。 本来、予防接種事業は国の責任において実施されるものです。 副作用がおきて重篤な障害が生まれた場合の国の責任がなんら明示されることなく、自治体の責任を強制するやり方は、本来の予防接種行政とはいえません。
 このような状況の中で、静岡市がワクチン接種を公費負担で進めるとなると、長期展望に立って、子宮頸がんワクチン接種が必要なものである医学的、 疫学的根拠を市民に説明する責任を果たしていかねばなりませんが、その根拠や準備は磐石であるとは思えません。

 海外でも臨床経験は2006年から始まったばかりで、予防効果の実績評価は十分とは言えず、副作用や有効性についての検証も十分されていない状況で、 副作用などリスクを伴う子宮頸がんワクチンに使う予算があるのであれば、同額の予算を持って子宮頸がん検診を無料で受けられる回数を増やす政策の方が、 はるかに効果的で、早期発見による健康被害を食い止めることが出来、治療費の削減に寄与する事は明らかです。

 厚生労働省の論点整理では、「HPVワクチンは定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものではなく、ワクチン接種に加え、正しい子宮頸がんの知識を持ち、 何よりも早期発見のためにがん検診を定期的に受診することが重要である。」と明記されています。
 国のファクトシートによる情報提供においても「実際にHPVワクチン導入が全人口レベルで子宮頸がん患者・死亡の減少につながるかは、今後の長期にわたる調査研究が必要である」とされおり、 国の審議会においても有効性や副作用被害の在り方について疑問とする発言が出ています。

 以上の点より、私たちは子宮頸がんワクチンの導入に対して、ワクチン導入に必要な予算を国が準備したからといって、静岡市の行政政策が追従することなく、 公費を支出する事が出来るのであれば、子宮頸がんの保健対策は子宮頸がん検診の無料化の対象を広げ、検診の必要性を広報する政策を選択してくださるよう、市長のリーダーシップに期待し、切に要請いたします。
以上
2010年12月14日
「健やかな命のための生活講座」一同
プラムフィールド  代表 馬場利子
静岡市葵区安東1−2−3
プラムフィールド内
電話 209-2021



(3)2010年12月15日静岡新聞朝刊掲載記事